玄冬の門をくぐったら、
孤独の楽しみを満喫する
元気に老いるための7つのすすめ【2/3】
4.妄想のすすめ
《独りで生きるということ、孤独の中で生きるということは、ある意味では辛いことです。耐えないといけないし、孤独感が身に沁みるときもあるだろうと思います。それは納得して乗り越えていかないといけない。そこから得られる自由のほうが大事なのだという覚悟が必要です。まわりの絆を不自由に感じて生きているよりは、自由に生きたいということです。これまで家畜のように暮らしていたのが、放たれるというような感じですね。
昔の中国では、ある年齢に達すると、老人はアヘン窟に行く人が多かった。高齢の老人がゴロゴロしながらキセルでアヘンを吸っている。ずっとアヘンを吸うと食欲がなくなって、枯れるようにしてそこで死んでしまう。それは、ある意味で良いかたちの楢山だと思います。羽化登仙というか、うっとりと陶酔しながら、気持ち良く死んでいけるわけですから。アヘン窟というのは一種のマイナス尊厳死の施設だったと言っていいと思います。
高齢者にとっての幸福感というのは、精神世界というか、空想なり妄想の世界に遊ぶということです。それが、ものすごく大事だと思うのです。先ほど言った、アヘン窟でアヘンを吸っている人たちというのは、人工的にそういう世界をつくっているのだと思いますが、それと同じように、自分で空想の幅を広げていく。空想の中でなら、どんなに恋をしようと不倫をしようと、何の文句もないわけだから、想像力の翼を無限に広げて、妄想に遊ぶということはすごく面白い。「妄想に遊ぶ」というのは悪いことのように思われるけれども、そうではないです。なにも人に害を及ぼすわけではないですから。》